体育史専門分科会・会報  No. 175 / 2005. 2. 24

Ⅰ. 世話人会報告

 12月18日および2月6日(ともに於:筑波大学)の世話人会で話し合われた内容を中心にご報告いたします。

1.役員選挙について

 規定に則り、来年度の新役員の選挙を予定しております。3月上旬に、会員の皆様に投票用紙など必要書類をお送りいたします。選挙結果の発表は2005年度春の研究集会における年次総会で行うことを予定しております。詳細につきましては、必要書類の発送の際、お知らせいたします。

2.春の研究集会について

 2005年度の春の定例研究集会の日時は5月21,22日となりました。また、会場は楠戸一彦会員(広島大学)のお世話により、広島県広島市のホテルサンルート広島を予定しております。一般研究発表の締め切りについては、例年通り三月末締め切りとなります。一般発表の募集要項は下記のとおりです。また、今回は宿泊の斡旋がございます。下記をご覧ください。なお、春の定例研究集会の詳細については次回会報にてお知らせいたします。

2005年度春の定例研究集会 一般発表募集要項

発表を希望する会員は,発表題目を記した発表原稿(A4版2枚,横40字×縦40行ワープロ書き、および、発表原稿を保存したフロッピーディスク(文書ファイルを添付したe-mailでも可)を事務局までお送り下さい.また、eメールをお持ちの方はメールアドレスをお知らせ下さい。

締切は平成17年3月31日(必着)

発表時間は30分、質疑応答15分程度(演題数により変更あり)。

   (2) 発表原稿送付先: 〒305-8574 つくば市天王台1-1-1 筑波大学体育科学系 

                  体育・スポーツ史研究室内 体育史専門分科会事務局宛 

「春の定例研究集会発表原稿在中」と朱書きして下さい。

体育史専門分科会春の定例研究集会の宿泊について

日 時:平成17年5月21日(土)22日(日)

場 所:ホテルサンルート広島 〒 730-0051 広島市中区大手町3丁目3-1

Tel.: 082-249-3600、HP: http://www.sunroute.hiroshima.com

宿泊及び懇親会について

 宿  泊:1泊7,500円(朝食なし)

      朝食1,000円(要予約)

 懇親会費:5,000円

 宿泊と朝食を希望する方、懇親会に参加される方は、4月20日(水)までに、下記の要領で楠戸宛ご連絡下さい。直接ホテルに予約される場合、あるいは4月20日以降の場合は、宿泊費も朝食代も上記の金額よりも高くなります。予約をキャンセルされる場合は、ホテルではなく、楠戸宛ご連絡下さい。

記載事項

  氏名:

  所属:

宿泊:予約する、予約しない

朝食:予約する、予約しない

  懇親会:参加する、参加しない

  メールアドレス:

申込先

  宛先:楠戸 一彦

  住所:739-8521 東広島市鏡山1-7-1 広島大学総合科学部行動科学講座

     Tel.: 082-424-6586、Fax.: 072-424-0759

     E-Mail: kkusudo@hiroshima-u.ac.jp(メールでの申込を希望します。)

2.日本体育学会第56回大会合同シンポジウム、専門分科会シンポジウム、キーノートレクチャーについて

 平成17年度日本体育学会(11月23~26日、茨城)における専門分科会合同シンポジウム及び体育史専門分科会単独のシンポジウムについては、演者の選定と依頼を行っております。また、キーノートレクチャーについては、木下秀明会員にお引き受けいただきました。なお、秋の定例研究集会については、学会の日程が例年より一日長いことを考慮して、大会期間中の開催を検討しております。

3.体育史専門分科会ホームページについて

 体育史専門分科会ホームページについて検討した結果、新たにホームページ担当世話人を設け、今後の作成作業を進めることとなりました。現時点では2005年春の公開を目標としております。

Ⅱ.編集委員会報告

 体育史研究第22号の編集・刊行作業を行っております。本年度は原著論文の投稿が2本あり、そのうち1本は掲載が確定しており、もう1本は審査中です。なお、本年度締め切り後、原著論文1本を受理しており、これについても目下、審査中です。投稿は随時受け付けております。会員の方の投稿を期待しております。原著論文、研究資料、書評、いずれでも結構です(書評の字数については、既刊の『体育史研究』に掲載されているものを参考にして下さい)。また、HP開設に伴う準備作業(「体育史研究」の電子ジャーナル化を含む)に着手しております。

Ⅲ.2004年度 秋の定例研究集会における研究発表(総括)

 9月23日(木)午後2時から長野市内のJA長野県ビルにおいて2004年度秋の定例研究集会が開催されました。Andreas  Niehaus氏(ケルン大学)の講演と佐々木浩雄会員(金沢大学)による研究報告が行われ、参加者の間で活発な討論が行われました。当日の出席者から、楠戸一彦会員(広島大学)と池田恵子会員(山口大学)に発表の総括をしていただきましたので、下記をご覧下さい。

 今回は研究集会に37名(うち院生5名)、終了後同ビル内「しなの木」で行われた懇親会に32名の参加があり、遠方からも多数の会員が参加されました。現地世話人を務めていただいた大久保英哲会員(金沢大学)、お手伝いいただいた金沢大学大学院生ならびに筑波大学大学院生の皆様に厚くお礼を申し上げます。

演者 : Andreas  Niehaus氏(ケルン大学)

テーマ: Body in Biography - Reading the Life of Kano Jigoro

 2004年秋の定例研究集会では、ケルン大学のA.ニーハウス氏(2004年10月よりベルギーのゲント大学)による特別講演が行われた。講演はドイツ語ではなく英語で行われた(氏は日本語も堪能である)が、阿部生雄会長による発表原稿の日本語訳が配布され、講演内容の理解に大いに役立った。

 さて、ニーハウス氏の講演は、雑誌『作興』に連載された「柔道家としての嘉納治五郎」と「教育家としての嘉納治五郎」の2つの論稿を資料としながら、次のような論点から、嘉納の生涯における「身体の役割(the role of the body)」を解明することに焦点が当てられていた。(1)ロシアの海軍将校との力試しやエジプトでのピラミッド登頂のエピソードに見られる「身体の役割」、(2)合気道創始者の植芝盛平との「身体性」の相違、(3)嘉納による言葉あるいはテキストによる身体の「説明」、(4)「精力善用自他共栄」に見られる嘉納の教え、など。これらの検討を通じてニーハウス氏は、次のような結論を導く。嘉納は身体に対する伝統的な排他性や秘密主義を打ち破り、「身体を脱-神秘化し、理性化した」。即ち、彼は嘉納の考え方に「計測可能で合理的なものだけを受け入れる近代性」を認めた。

 嘉納の言説から読み取れる「身体の役割」の解釈を通じて、「教育家としての嘉納」の思想を解明し、また日本における伝統的な身体を「近代的な」身体を対比させたニーハウス氏の講演は、柔道創始者としての嘉納に関する研究に親しんでいた筆者にとっては極めて新鮮であり、嘉納治五郎研究の新しい地平に接することができたことは幸いであった。側聞するところによれば、『体育史研究』に今回の講演の日本語訳と、またニーハウス氏の学位論文『嘉納治五郎(1860-1938)の生涯と業績』(2003)の書評が掲載される予定とのことである。ニーハウス氏の嘉納治五郎研究の詳細については、これらを参照して頂きたい。最後に、体育史専門分科会の定例研究集会において外国人研究者による講演が極めて希であったことを考えると、今回の講演会を企画した世話人の方々に敬意を表したい。

楠戸一彦(広島大学)

報告者: 佐々木浩雄会員(金沢大学)

テーマ: 松元稲穂の「国民体操」について-修養団天幕講習会、協調会労務者講習会、青年団講習所における実践を中心に- 

 佐々木会員による上記のテーマについて私が総括することは適任でないように思う。ましてやご発表のあらましを繰り返すことも僭越であろう。しかしながら、外国スポーツ史に通じてきた視点から感想を述べるなら、やはり当日お見えでなかった会員のために若干の説明を施し、私なりに興味深く感じた点をお浚いしておきたいと思う。報告者が関心事としたのは、日本における社会体育の源流を探るべく、松元稲穂の理論と実践についてであった。松元は、修養団に足場を置き、大正期半ばから一貫して農民や工場労働者に体操普及を行った人物として知られている。自ら考案の「国民体操」は、軍隊、学校の枠を超えた空間、すなわち、修養団天幕講習会、協調会労務者講習会、青年団講習所といった場を通じ、勤労青年層への普及の途を示す道しるべとなった。先行研究とのかかわりで言えば、大谷武一、北豊吉とともに国民保健体操(ラジオ体操)の原型、「国民体操を創始」したとされていることを除き、彼自身について体系的研究がなされていないことも本研究のニーズとして掲げられている。そこで、家庭体操(婦人の健康)から国民体操へと誘い、体操の生活化、内臓諸器あっての健康、先に隆々たる筋肉、骨格があるのではないとする斬新な主張が見直されることになる。工場での朝礼、休み時間に行う疲労恢復のための体操といったその実践は、国民保健体操と共通動作の多いものであった。さらに普及の様相は、理論よりも実践者の体験談を軸にするものであったとされている。議論の中心は、内務省書記官をも務め、農村の青年教育に携わり、小尾晴敏とともに天幕講習会を確立、「中堅青年の養成」を主張した講習会講師、財団法人協調会理事を務めた田沢義鋪らへの言及他となるが、本研究から読み取れる面白さは、既成概念への果敢なる挑戦とも感じられる側面があった。すなわち、体操の普及母体であった修養団の性格について、全体主義的教化活動の一翼とするような消極的な歴史評価と、「大正期のある時期までの民意を反映した一定の自律的組織」であったとする積極的評価との関わりにおいて、身体活動の面から新たな視野を補足しようという試みにもつながっている。こうした官製的あるいは全体主義的意味との関連と、戦前の社会体育や民衆体育の源流としての積極的評価の問題以外にも、松元を扱うことで、この他に興味深い対峙が潜んでいると感じられた。例えば、赤色スポーツ運動でもブルジョワスポーツ振興の脈絡でもない所の日本的特徴を探るという作業である。しかしながら、これらに論を向けていく場合、ファシズム下のドイツ、イタリアとの類似性にも触れて、視野を拡げなければならないという課題も伴うことであろう。それにしても、松元がソコルにも、ヤーンのドイツ体操にも言及しているあたり、極めて興味深く思われる。また、このような可能性を感じる一方で、報告者の生真面目さの裏返しではあろうが、詳細な事実報告の裏に隠れて、以上の点について、議論が波及しなかったことが残念であった。しかし、テーマを選んだ時点で、潜在的に上述の問題意識が想定されているように思われる。右にも左にも揺れ動き、かつ、「民衆」というキー・ワードから身体が持つ恒久的側面の正と負の両面を扱っていくことに、広い意味での外国民衆スポーツ史との共通性を感じた。今後の展開に大いに期待したい。

池田恵子(山口大学)

Ⅳ.日本体育学会第55回大会体育史専門分科会シンポジウムについて

 9月25日(土)12時30分より信州大学工学部K102教室において、「日本スポーツの西洋的イメージと理解」と題し、体育史専門分科会シンポジウムが開催されました。阿部生雄会員(筑波大学)の司会で、Andreas  Niehaus氏(ケルン大学)、Lee Thompson氏(早稲田大学)の2名が演者を務め、楠戸一彦会員(広島大学)がコメンテータを努められました。なお、報告は2005年春発行予定の『体育史研究』第23号に掲載いたします。

Ⅴ.事務局より

1.会員動向

【入会】

 北林 聡 (広島三育学院)

 馮 宏鵬 (日本体育大学)

【退会】

 高橋春子

【所属変更】

 竹腰 誠(神奈川大学) 

2.2004年度専門分科会費納入のお願い

 会費を分科会の郵便振替口座に振り込まれている会員で、2004年度会費(4,000円)を未だ納められていない方は、会費の納入をよろしくお願いいたします。

郵便振替口座  

加入者名: 日本体育学会体育史専門分科会

口座番号: 01050-0-74654

Ⅵ. その他

体育・スポーツ史関連学会のお知らせ

  • 日本スポーツ産業学会 スポーツ産業史専門分科会 2004年度第2回研究会

    期日:2005年3月29日(火)~31日(木)

    会場:ウィルあいち(愛知県女性総合センター)

    問合せ先:スポーツ産業史専門分科会事務局 〒514-8507 三重県津市上浜町1515三重大学教育学部 中村 哲夫

         Tel/Fax: 059-231-9290 E-mail:nakamura@edu.mie-u.ac.jp

  • 日本スポーツ人類学会第6回大会

    日程概要:2004年3月28日(月) 午後 シンポジウム、総会、懇親会

         :2004年3月39日(火) 午前 一般研究発表 午後 一般研究発表

    会場:UNITY・神戸研究学園都市大学交流センター

    問合せ先:〒673-1494 兵庫県加東郡社町下久米942-1

    兵庫教育大学 実技センター内 永木 耕介

         日本スポーツ人類学会第6回大会事務局 

    Tel/ Fax: 0795-44-2234 E-mail: konagaki@life.hyogo-u.ac.jp(一般研究発表の申し込みは終了しております。)

  • 東北アジア体育・スポーツ史学会第6回大会

    日程概要:2005年8月21日(日)~8月24日(水) 

    会場:研究交流センター(つくば市)及び筑波大学

    問合せ先:〒305-8574 茨城県つくば市天王台1-1-1 筑波大学体育科学系 体育史研究室 大熊廣明

    Tel/ Fax: 029-853-6350 E-mail: ohkuma@taiiku.tsukuba.ac.jp

  • ISHPES(International Society for the History of Physical Education and Sport) 第9回大会

    日時:2005年9月7日(水)~9月11日(日)

    会場:ドイツ・ケルン体育大学

    問合せ先:〒206-8501 東京都多摩市永山7-3-1 国士舘大学体育学部 山本徳郎

    Tel: 042-339-7297 E-mail: tyamamo@kokushikan.ac.jp

    http://www.dshs-koeln.de/ISHPES-2005/index.htm