日本体育・スポーツ・健康学会 学会大会における発表申し込みについて

体育史学会(兼 日本・体育スポーツ健康学会体育史専門領域) 会⻑ 新井 博

日本体育・スポーツ・健康学会(以下、体育学会と略)の学会大会は、第 70 回大会まで 学会本部や組織委員会が企画する分野横断的なシンポジウムを除き、各専門分科会別に一 般発表やシンポジウム等が開催されてきました。第 71 回大会より、この形式が大きく変更 になっています。この形式変更は、テーマ・オリエンテッドな学際的研究を進展させること を目的としています。これにより、学会がこれまで以上に実践的・応用的な学術知を力強く 発信し、スポーツや身体活動を通じた「望ましい社会」の実現に役立つてることがめざされ ています。これらの変更の背景には、学会名称の見直しを行った時期に、定款における学会 の目的を以下のように見直したことがあります。

(定款第 3 条)この法人は、体育・スポーツ・健康に関する学理及びその応用についての研 究発表及び専門領域間の連携協力による研究成果の統合化を行うことにより、体育学/ス ポーツ・健康科学の進歩普及を図るとともに、体育・スポーツ・健康に関わる諸活動を通 じた個人の幸福と公平かつ公正な共生社会の実現に寄与することを目的とする。

形式変更後の学会大会では、5 つの応用領域(「スポーツ文化」「学校保健体育」「生涯ス ポーツ」「競技スポーツ」「健康福祉」)が設定され、それぞれの領域内で議論を深める 3 つ の重要な社会的課題(テーマ)が設定されました。したがって、現状では、計 15 のテーマ 別にシンポジウムおよびテーマに関連する一般発表(以下、応用領域型発表)が行われると いう形式がとられています。一方で、専門領域別に議論を深めるべき内容もあることから、 従来型の専門領域別の一般発表(以下、従来型発表)が行われるスケジュールも組まれまし た。

初めての試みであったこともあり、応用領域型発表では、当該研究報告が土台とする研 究方法論(専門領域)を互いに認識することができず、学際的な議論を十分に深めることが できないケースも散見されました。また会員からは、応用領域型、従来型のいずれで発表申 込みをすべきか、不明瞭であるとのご指摘もありました。

これらへの対応について、体育学会における体育史専門領域を兼ねる組織としての体育 史学会理事会において検討を行いました。この検討を踏まえ、応用領域型と従来型の切り分 けの参考にしていただけるよう、考え方の一案を提示いたします。

  1. (1)  応用領域テーマ別一般発表:体育史研究を土台としつつ、他の研究領域との対話を 促進し、体育・スポーツが抱える社会的課題に歴史的研究から波及効果を与えるこ とを意図する研究
  2. (2)  専門領域一般発表:新たな歴史的事実の発掘や研究方法論上の問いかけ等、歴史研 究を専門分野とする研究者との交流により、さらなる発展が期待される研究

上述の考え方は、あくまでも、体育史専門領域の会員のみなさまへの参考情報です。当 然のことながら、どのような場で発表するかは、研究者の自由な選択に委ねられています。 この点、十分にご理解いただきますよう、お願いいたします。

なお、体育学会学会大会実施形式の大きな変更に伴い、理事会では、歴史研究を土台と する専門家の議論の場として、例年初夏に開催している体育史学会の学会大会をこれまで 以上に活性化させるよう、引き続き、取り組んでまいります。

今後とも、会員のみなさまにはご理解とご協力を賜りますよう、お願いいたします。

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